適応と順化

生存環境が悪い場合、動物や人間は環境条件を変え、場所を移動することができますが、植物はできません。

 

しかし、その生えたままの環境に甘んじて生きていくとか、その環境の変化に、ただもて遊ばれているという、消極的な生き方をしているわけではありません。

 

生存している環境に合わせて、形や生理的な性質などを変化させ、調節することで、栄養をとったり、より効率的な状態で生き、環境の悪影響を避けたりする術(すべ)を知っています。

 

生物が環境に合った性質を持つように進化する(遺伝子を変える)ことを、「適応」と言います。

 

それに対して、生物が環境に応じて性質を変える(遺伝子を変えない)ことを、

 

「順化」と言います。

 

光がたくさん明るい所で育つ植物は、葉っぱが小さく厚くなるし、光が少なく暗い所では、葉っぱは大きく薄くなりますが、これは「適応」でも「順化」でも同じこと。

 

暗い所で育つと、根や地下茎が小さく、葉っぱや直立茎(地上部)が大きくなり、有機物(栄養)の分配割合を多くすることで、より多くの光を受けることができるように順化します。

 

そして、日なたより日陰の方が上方の光を求めて、少しでも高い所に葉っぱをつけるために、茎を細長くして、高い位置に伸びようとします。

 

植物は積極的に一生懸命生きています。

 

人間である我々は、性質や個性を変える必要はないですが、植物のような柔軟性を持ち、どんな環境、どんな状況、どんな方と御縁いただいても、柔軟に対応できる人でありたいですね。

 

植物から学ぶこと、たくさんあります。

 

また、CAM植物についても考えてみたいと思います。

 

降水量が少ない乾燥地帯の植物は、日射が強く温度が高い昼間は、水分を失わないために、しっかりと気孔を閉じてますが、光合成をするためには気孔を開いてガス交換をしなければなりません。

 

この矛盾した必要性に対して、乾燥地帯の植物たちはガス交換と光合成を時間をずらして行うのですが、夜の涼しい間に気孔を開いて、二酸化炭素を取り入れ、有機酸を合成して、一時的に葉っぱの細胞の中に貯蔵しておきます。

 

そして、昼間に貯蔵しておいた有機酸から二酸化炭素を発生させながら、気孔を開くことなく、光合成をしますが、このような植物をCAM植物と言います。

 

環境の変化が厳しい状況で生育する植物は、「順化」(遺伝子を変えることなく環境に応じて性質を変える)の幅が大きいです。

 

厳しい環境でなく安定したところでぬくぬくと生育した植物は、順化するのが苦手で、変化が大きい厳しい環境に柔軟に対応することが苦手で、今適応している環境から異なった厳しい環境に置かれたら、お手上げ状態になります。

 

人間も同じです。

 

人生はいろいろな厳しい試練が次から次へと来ますが、この経験のお陰で、人は魂を磨き、浄化し、真なる智慧を授かり、CAM植物のように、厳しい状況や環境の元でも、たくましく生きていけるようになるし、調和のとれた人へと成長して行きます。

 

しかし・・・です。

 

今、現在苦しい状況に在る方へ!経験は財産であり、苦しい状況の中、無理して頑張るということも大事だとは思いますが、時に苦し過ぎる時もあります。

 

どうぞ頑張りすぎないで下さい。

 

休息の必要な時もあります。

 

立ち向かうのもいいですが、試練から少しだけ逃げて、少し休息をとった方がいい時もあるでしょうし、あまりに苦しい時は周りの信頼できる方に甘えることも大事です。

 

植物は土壌が乾燥して、十分に水分を吸う事が出来ない時は、活発な蒸散を行えば、ひからびてしまうので、気孔を閉じて水が植物から失われないようにし、光合成もストップしたりもします。

 

光は光合成に使えなくなると、植物の細胞を傷つけてしまい、蒸散が抑えられると葉っぱの温度を下げることもできません。

 

そのため、光を避けるために自らしおれさせるということをします。

 

頑張りすぎずに、ボチボチいきましょう(*^_^*)

 

神々はしっかりと見守っています。

 

あなたはひとりじゃありません。

 

葉っぱ

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