お彼岸

 インドや中国や東南アジアでは春分の日や秋分の日に先祖のお墓まいりをするという習慣はありません。つまり、お彼岸というのは仏教の行事ではなく日本だけのもの。 

日本はもともと農業を大切にしている国で農業が中心でした。お米を作る日本人にとって太陽ほど重要なものはないです。ですから、昔から太陽に対する信仰があり、「今日も太陽が東から昇って西に沈みますように・・・そして太陽のめぐり合わせで春夏秋冬がきちんと訪れますように!」とお祈りしてたわけです。それで、太陽が真東から昇り、真西に沈む春分と秋分はとても大切とされいて、その日をはさんで、前後3日間は太陽をお祀りする習慣があったそうです。ですから、昔は、仏教行事ではなく農業のための神事だったということです。 仏教では極楽浄土は西方にあると言います。真西に太陽が沈んで、その先に浄土がある・・・と考えて、先祖の供養をするようになりました。 

お彼岸はご先祖様だけでなく太陽に感謝しお祈りするといいですね。

しかし、本当は、お彼岸だけお祈りするのではなく、毎日、常に、太陽にもご先祖様にも周りの方々にも感謝の心を持って日々過ごせるといいですね。

そして

お彼岸には、やはり、ぼたもち&おはぎですよね(^.^)

ばたもちとおはぎの違いはご存知ですか?

春のお彼岸・・・ぼたもち

秋のお彼岸・・・おはぎ

何が違うのか?というと、こしあんか粒あんかの違い。

小豆の種まきの時期が4~6月で収穫が9~11月。 春のお彼岸まで保存していた小豆は皮が固くなるので、皮を取り外してこしあんにし、秋のお彼岸は、新鮮で皮も柔らかなので粒あんとして食べるのです。ぼたもちやおはぎが何故お彼岸に食べられるようになったのかは・・・小豆は、元々中国で漢方薬として使われていたそうですが、それが江戸時代に日本に入ってきたそうです。その当時、砂糖も高級品。そして、昔から赤い色というのは魔除け効果があると信じられていたので、小豆は邪気を払うという意味で、ご先祖供養として大切な日にお供えしたり大切な人への食べ物として作られていたそうです。

お米とあんこの二つのものを合わせることで、ご先祖様と「心」と「心」を合わせるという意味もあるようです。

お彼岸だけでなく毎日ご先祖様と心を合わせ感謝の想いを伝え、共に生きることができるといいと思いますが、お彼岸という節目の日にばたもちをお供えして、心を合わせ感謝の想いをお伝えできるといいですね(^.^)

赤色の効果ということで、おめでたい時のお赤飯についても記しておきます。

『和の知恵(by 藤野紘)』から

米というと、一般的には真っ白い白米を想起する。しかし、現代まで受け継がれてきた伝統的な米がもうひとつある。赤飯である。日本では、めでたい席などに臨む際、いまでも赤飯を炊いてお祝いする習慣がある。結婚式や出産祝い、七五三といったお祝い事には、赤飯は欠かせない。赤飯は、白米をわざわざ小豆といっしょに炊いて赤く染めている。赤は、日本人にとってはとても縁起のよい色だった。真っ赤に燃える太陽をイメージさせ、燃えるような気分になったり、幸福感を感じていた。そのため、赤色のものは魔除けになると、いつしか日本人のあいだで信じられるようになった。小豆と合体させて米を赤く染めることは、幸福を招き、縁起がよいとされたのである。しかし、赤飯をつくるのは魔除けの意味だけではない。日本人は、米は白いと常識的に思っているが、世界の米を調べてみると、米は大きくふたつの種類に分けられる。おなじみの丸くて白いジャポニカ種と、熱帯で穫れる長くて赤いインディカ種だ。縄文時代に日本にはじめて渡来してきた米は、このインディカ種とジャポニカ種の中間で、「赤米」とよばれるすこし赤みを帯びていたものだったという。この赤米は、豊臣秀吉がこの世を去るころまで、日本人のあいだで食されていた。こうした歴史の経緯から、日本人は赤い米に特別な思い入れをするようになった。日本の土地を守り、耕し、歴史を築き上げてきた先人たちが食べていた赤い米は、脈脈とつづいてきた日本の歴史を受け継ぐ食物なのだという気持ちである。儀式やお祭りを執り行うときには、古代の人たちが食べた赤米を食べて、古きよき時代を演出する。つまり、小豆を使って白米を赤くするのは、古代の色を再現しようという和の知恵だったのである。

おめでたいときに赤飯を食べるのは、縁起のよい色の米を食べてお祝いするだけでなく、信仰的な意味合いから、古代を演出して、古き良き時代を懐かしむ、われわれのご先祖様に感謝するという意味がこめられていたのである。

お赤飯の印象が変わりましたか?私たちのご先祖様への感謝の意味が含まれているのです。

お赤飯を食べる時、お祝いの気持ち そして ご先祖様、日本を支えてきて下さった全ての方々に感謝していただきましょう。

太陽

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