五十鈴(いすず)

日ノ本、日本国を豊葦原瑞穂の国(とよあしはらみずほのくに)と言いますが、それは五十音図(=五十鈴)そのもののことを言います。

 

日本語五十音は、宇宙の根本原理を表した宇宙の縮図であり、それを五十鈴と言います。

 

それぞれ五十の音は神そのもので、人間の精神生命を構成するのは、この五十個の言霊です。

 

この五十音言霊を祀る宮が伊勢神宮であり、この五十音を鳴らすのが、神社の鈴です。

 

そして、大宇宙の振動(神)である五十音を物質界に表したのが言葉と文字であり、これが、精神と物質の道理の初めです。

 

神社で巫女さんが使う五十鈴ですが、五金(いつつのかね)でできており、青金、赤金、白金、黄金、黒金 があります。

 

この五つの鈴とは、アオウエイの五母音。

 

「アオウエイ」は、天津菅麻(あまつすがそ)音図の配列であり、原始的大自然そのままの性質を持ち、宇宙摂理に適った配列です。

 

ちなみに現在は天津金木(あまつかなぎ)音図の配列で「アイウエオ」です。

 

これからの時代は、精神と物質文明とが十字に結ばれる愛と真の安泰文明を進める為の、天津太祝詞(あまつふとのりと)音図の配列である「アイエオウ」です。

 

五十音について簡単に示すと、

 

まず、言霊「イ」は、他の四つの母音「アオウエ」を支え、統合する立場にあります。

 

人間の創造知性の根源律である八父韻「チキシヒイミリニ」に展開して、父韻は四母音と四半母音を結びつけ、現象である子音を生みます。

 

つまり、主体である五母音と、客体である半母音、八父韻が組み合わさりできた、三十二の現象子音を合わせて五十音になります。全部合わせて五十個なので、五十鈴です。

 

五十鈴の話に戻ります。

 

五色でそれぞれ十個ずつ、半音ぐらい上げたり下げたりして、音階ごとに分けて鈴を作ります。

 

アの列が十個、オの列が十個というふうに十個ずつの鈴を作り、五十鈴を完成させます。(昔は本物を使っていたと思いますが、今現在は本物はないような気がします。)

 

巫女さんが、シャンと五十鈴を振り鳴らしますと、例えば、青金を振り鳴らすことにより、人間の肉体と共鳴させると肝臓や胆嚢に響き、本来の正常な働きになります。

 

五母音は、五元素でもあります。仏教では、地水火風空の五大で表されますし、儒教では、木火土金水の五行で表されます。

 

つまり、肝臓は木星の働きですので、周波数を合わせて、肝臓や胆嚢を治すのです。このようにして神社では、五十鈴を振り鳴らして、五臓六腑禊も整え祓いをするのです。

 

五元素は独立した存在ではなく、元は一つのところから発生しており、それぞれが密接に関連し合った状態で、森羅万象全てを創り出しています。

 

この五母音を神道では、心柱とか、忌柱とか、天の御量(みはかり)柱と呼びますが、伊勢神宮の正殿中央床下に五尺の柱として安置されてます。

 

この御柱を我々の心の中に立て、自覚することを「斎き(いつき)」と言います。

 

伊勢神宮の五十鈴川という名がつけられているのは、水が流れて行く音の中にも五十音という宇宙の振動があること、人間の精神構造はこの五十個の要素から成り立っているということ、そして、この言霊原理を自覚せよという神の祈りと意がこめられているのです。

 

五十鈴川

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