『語源不明。「うぶ」は産む、「すな」は土地とするとか、または、宇夫須那神社、日本三代実録の貞観6年10月の条に宇夫志奈神とあるのは、同族神の古い氏神の意か・・・同族神が衰えて、血縁本位の結合が地縁本位になったとき、産土神の意識が起こってきたと考えられる』(by 渡辺昭五氏)
このような解釈が一般的ですが、谷川健一氏(日本の神々)と茂木貞純氏(日本語と神道)の解釈は以下。
「うぶすな」は産屋の砂のことで、人の出産に関わるとてつもない古い信仰のなごりが、この言葉の中にあると解釈しています。
現代は出産は病院でするのがあたりまえであるが、戦前は家庭で産婆さんを呼んで生んだ。
さらに前になると、産小屋(うぶごや)と呼ばれる、別棟で別火(家族とは炊飯を別にする)生活をしながら出産を迎えた。
この産小屋(うぶや)の中に砂を撒(ま)き、藁(わら)を敷いて出産したのだという。
京都府天田郡三和町には今でも産屋が残っているが、その土地の老女によれば「明治末まで産小屋で子供を生み、そのたびに産小屋をたてかえたという。
あとでは家の土間に藁を敷いてそこでお産をすると、翌朝すぐにこの産小屋にいき、三日三夜こもったという。
この一坪半のせまい産小屋には川砂を敷き、その上に藁を敷いて床は張らなかった。
床を張ったら難産、床をとったら安産といわれたという。
この産屋の砂は安産のお守りとされて、今日でも氏子に配られている」。
谷川氏は、生まれおちたとき、最初にふれる砂が、産土(うぶすな)の語源で、その土地の霊が子供の守護霊になるという信仰が原点にあるのだと推測する。
そして、砂が護符となった淵源を、神話にみえる海神(わたつみ)の娘が、海辺の砂浜に産屋をたてて、出産する風景の中に見ている。
海亀が季節を定めて海のかなたからやってきて、砂に卵を生む風景とも重ねて、誕生の神秘を説明する。たいへん興味深い説である。