食国(ヲスクニ)

新緑が目にあざやか、さわやかな季節となりました。太陽の日差しを浴びながら、お外で裸足になり、虫や鳥の声を聞いたりお花を愛でたり、本当に気持ちのよい毎日です。

先週はお田植え神事でした。伊勢神宮に奉納するイセヒカリです。伊勢神宮には普通なかなか奉納はできない中、ある無農薬農家さんが選ばれまして、その方がお誘い下さったので、有り難く参加させていただきました。

田植えの前は、もちろん正式にご神事を行います。祝詞を奏上、太鼓の奉納、田植をする全員でしっかりと祈りを捧げ禊を受けます。太鼓の響きも素晴らしく、天地に響き渡り、たくさんの神々様と龍神様の渦が巻き起こり、あまりの素晴らしさに魂が震え、涙がポロポロでてしまいました。禊を行った後、皆裸足になり田んぼに入らせていただき一本一本丁寧に植えさせていただきました。

日本人の精神性を保つのに必要なお米。万物の種子を宰り、一から百千の数をなす靈を持つ「タ」に、息根(イネ)=命が植えられるのが田植です。山から降りてきた山の神さまが田の神になるとき、その神の元で行うということで、田植そのものが神事であり、地域全体の祭だった田植。神は、人類がそれぞれの国の気候や風土に順応しながら、心身健康に人生を歩めるようにと、命の根源である食を与えられました。旬の物、その土地の物、そして愛ある料理を食べれば、バランスもとれ、健康でいられます。

「食べる」という言葉、これは「タマハル(賜る)」から来ています。食べ物を神からいただくということです。「メシ(飯)」は、飯=召し(召すもの)。「召す」は「見(メ)す」が転じたもので、目で見ることです。神に奉げてから私たちもいただくので「召す」なのです。

「タベル」も「「メシ」も凄い言葉なのです。

では、「食国(ヲスクニ)」という言葉は。

食国=「天皇の治めたもう国」=日本です。 「ヲスクニ」の「ヲ」は言霊的に言うと(by 言霊玄修秘伝)、結而成一言霊(ムスビテヒトツトナルコトダマ)、霊魂之緒也(タマノヲ)、食也 (ヲシモノナリ)、長也(ヲサナリ)、治也(ヲサメナリ)、 教也(ヲシヘナリ)、躍也(ヲドリナリ)です。 「ヲス」という原義は、人民に「食」を不自由にさせないということであり、天皇がわが国を「治(ヲサム)」のです。 「ヲス」=「ヲサ」=「食」=「治」=「長」 。人を飢えさせないのが日本のヲサム(治む)の基本です。 

武道で、「オッス」と言いますが、これは「ヲス」です。つまり、「ヲス」=「食国」=「日本」=「日本人の精神」。 空手道場にもこの「ヲス」について電話して聞いたことあるのですが、「おはようございます。」や「おねがいします」の省略で、 「押して忍ぶ」という意味で、武道の奥義が含まれていて、あとで当て字にして「押忍」になったそうです。 

伊勢神宮では食事を毎朝神様に供えるとき「ヲー」とか「ヲーシ」とか声をかけるのもこれで理解できます。 食べ物は神様そのものであり、神社の儀式も食抜きにはできません。神とともにいただくという、この「ヲス」(食)の精神を「ヲシエル」のが「ヲシエ」(教え)」とも言えます。食育が大事だと叫ばれる今日、食を通して、「食国」(ヲスクニ)の精神である、「正しく食べる」ということ、命の大切さなど教えていかなければいけません(^^)

苗

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